Sam Stone – John Prine / ジョン・プライン 和訳

Sam Stone – John Prine / ジョン・プライン の和訳。1970年頃はベトナム戦争に対する反戦歌が多く作られたが、帰還兵の心情に寄り添う曲は当時ほとんどなかった。この曲では、兵役後にPTSDを発症し、薬物に依存するサム・ストーンの物語が語られている。

MV

Sam Stone – John Prine 和訳

オリジナル🔗Genius

[Verse 1]

サム・ストーンは、妻と家族のもとへ帰宅した
それは海外の戦争へ徴兵された後のこと
その兵役期間で、彼の精神は粉々になり
彼の膝には、小さな榴散弾の破片が残った
でもモルヒネは傷を癒してくれる、そのハッパは彼の脳に伝わり
そして失っていた自信を与えてくれるんだ
名誉負傷章と、依存症とともに

[Chorus]

パパの腕には穴がある、そこにお金はすべて流れる
イエス・キリストは、きっと意味もなく死んだんだろう
小さな水差しの耳は大きい、年を数えることは止めないで
素敵な曲も、壊れたラジオじゃ長く続かない

[Verse 2]

サム・ストーンへの温かい歓迎は、長く続かなかった
彼が働きに行く時には、もう金は残っていない
そしてサムは盗みを働いた、あの空虚な気分になった時
時間ピッタリしか続かない、あの100ドルの習慣のために
その金が彼の血管に入っていく気分は、まるで1000本の鉄道列車が通るようで
彼の心を落ち着ける、彼が選んだ時間だけ
子どもたちは走り回る、他人の服を着て

[Chorus]

パパの腕には穴がある、そこにお金はすべて流れる
イエス・キリストは、きっと意味もなく死んだんだろう
小さな水差しの耳は大きい、年を数えることは止めないで
素敵な曲も、壊れたラジオじゃ長く続かない

[Verse 3]

最後の風船を弾いた時、サム・ストーンは一人だった
イスに座りながら、強いもどかしさを感じながら
彼は最後のリクエスト曲を演奏した、部屋の臭いは死そのもので
空気中には過剰摂取が漂う
人生の喜びが失われたからには、もう他にできることはなく
あとはGI法で買った家を交換するだけだった
地元の英雄の丘にある、国旗をまとった棺に

[Chorus]

パパの腕には穴がある、そこにお金はすべて流れる
イエス・キリストは、きっと意味もなく死んだんだろう
小さな水差しの耳は大きい、年を数えることは止めないで
素敵な曲も、壊れたラジオじゃ長く続かない

注釈 / 解説

ジョン・プライン自身、ベトナム戦争の帰還兵である。西ドイツにいたため直接戦争に関わることはなかったが、戦争を経験した友達は別人のように変わり果てていたようだ。PTSDという言葉もなかった時代、帰還兵への精神面のサポートは明らかに欠如していた。

この曲は第三者目線で語られるが、コーラスだけは子どもの視点になっている。「腕に空いた穴」はヘロイン注射の跡であり、キリストが死ぬ理由は誰かが罪を犯したからである。慣用句の「小さな水差しの耳は大きい (Little pitchers have big ears)」は「大人が思っているより、子どもは周りのことをよく聞いている」ことを意味する。つまり、子どもは父親が何をしているか理解しつつも、父親には罪がない (キリストは意味もなく死んだ) と信じている。ただ、金銭は薬物に注ぎ込まれ、盗みを働き、子どもの服もまともに買えないほど生活は崩壊している。

最後のバースにある「風船」は、ヘロイン入りの風船のこと。ヘロインは風船の中に入れられてよく取引されていた。サム・ストーンが国への奉仕で手に入れたものは、パープルハート章と依存症であり、その結果、ヘロインのODで命を落とす。GI法 (復員兵援護法) で手に入れた金で家を買っても、それは最後、棺に変わったのである。