80 Millionen Hooligans – Die Goldenen Zitronen / ディー・ゴールドネン・ツィトローネン 和訳

80 Millionen Hooligans – Die Goldenen Zitronen / ディー・ゴールドネン・ツィトローネン の和訳。1990年代前半のドイツは右翼組織による犯罪が絶えなかった。主にトルコ人を狙ったネオナチによる暴動はメルン、ロストック、ゾーリンゲンに及び、8千万人のドイツ人はフーリガン化していた。

MV

80 Millionen Hooligans – Die Goldenen Zitronen 和訳

オリジナル🔗Genius

昨日の夜 悪夢で目が覚めた
1000人が死んだところで 誰の命を惜しむこともない
俺の横では 8千万人のフーリガンがエゴン・クレンツの頭を串刺しにして*1
叫んでる「ドイツの女、ドイツのビール、黒赤金、俺たちは支持する」*2
女はいない 旗は黒と白と赤*3
でもアイツらは お前らの意思が最優先だと言ってんだ

そして俺はただの肉
数分後には完成する
ニオイを嗅げば 俺の食欲さえ刺激される
一切れくれよ 俺もお前と一緒に食うから

4千万台の車が俺を轢いていく*4
俺には分かった 泥から突き出した骨があることを
絶対とは言えないが 俺にはそう感じた
その骨はきっと強制的に埋めさせられたんだろ
キューバかトルコかベトナムのものだろう*5
そしてフーリガンは歌う「お前ら全部仕留めてやる!」
でも結局は自由が勝つんだ アイツらは自由になって
選択肢を得る 誰が殴られて家へ帰されるかのな

そして俺の殻は横たわって
骨髄は押し潰される
そして俺の顔に残ったものは
アスピックのようにタイヤ痕がついた肉だ*6

アイツらは間違いに気づいた
でも俺には関係ない
誰かに起こされて 顔に向かって怒鳴られた
「悪気はねえよ!」と俺を引っ叩いた
「じゃあアルディで 我らの自由に乾杯しようじゃないか」*7
街では選挙活動 結果なんて決まってるだろ
デカくてデブの王様は アルディ、ビルド、ウエストのためにいるんだ*8

そして俺は俺になる
俺みたいな人間は 急に珍しくなったように


注釈

*1 1991年時点のドイツの人口は約8千万人だった。そしてエゴン・クレンツ (Egon Krenz) は、国家評議会議長でドイツ社会主義統一党書記長だった政治家。ベルリンの壁を越えて東ドイツから逃亡しようとしていたドイツ人を殺害した罪で6年半の懲役刑を受けた。

*2 ベーゼ・オンケルツ (Böhse Onkelz) の曲「Deutschland」からの引用。黒赤金はドイツ国旗の色を表す。

*3 黒白赤は帝政時代の国旗の色、そしてナチス・ドイツ期の国旗の色である。当時の右翼的な考えは女性からの支持を得られなかった。

*4 この頃のドイツはたいてい4人家族で、車は2台持ち。

*5 1990年代、キューバ、トルコ、ベトナムからの難民がドイツに来ていた。

*6 アスピック (Aspik) は、肉や魚を煮たブイヨンをゼリーにしたフランス料理。

*7 アルディは、ドイツのディスカウントチェーン。

*8 前述のアルディ、タブロイド新聞のビルド、タバコブランドのウエストは、ドイツ人らしい文化の象徴である。