99 Luftballons – NENA / ネーナ の和訳。「ロックバルーンは99」は、核の脅威が高まっていた冷戦時代に作られた曲。西ドイツにはミサイルが配備され、国境沿いに浮かぶ無害な風船でさえ戦争の引き金となりかねない、一触即発の緊張感を捉えている。
MV
99 Luftballons – Nena 和訳
[Strophe 1]
ちょっと時間をくれない?
それなら、あなたに歌ってあげる
99個の風船が
地平線に向かう歌を
もしかして、私のことを考えてる?
それなら、あなたに歌ってあげる
99個の風船の歌を
そしてそれは、あんなことから始まった
[Strophe 2]
99個の風船は
地平線へ向かう途中
宇宙から来たUFOだと思われたの
そこで、将官が送り出したのは
後をつける飛行隊
もしもの場合に、警報を出すため
でも地平線にあったのは
ただの99個の風船
[Strophe 3]
99機の戦闘機
全員が優れた戦士で
カーク艦長を気取ってた
それが大きな花火を上げてたの
隣の人たちは、これを理解できず
すぐに色めき立った
地平線に向かって、それは発射されていく
99個の風船へ
[Strophe 4]
99人の陸軍大臣
マッチと燃料缶
自分が賢いと思ってた、あの人たち
大きな獲物を嗅ぎつけた
「戦争だ!」 そう叫び、武力を求めたの
ねえ、誰が考えたと思う?
こんなことになるなんて
99個の風船のせいで
[Bridge]
99個の風船のせいで
99個の風船
[Outro]
99年の戦争で
勝者は生まれなかった
もう陸軍大臣はいない
戦闘機の姿もない
そして今日が、私の出番
荒廃したこの世界で
見つけたひとつの風船
あなたを想い、私はそれを放った
注釈 / 解説
1979年、NATO二重決定が成立した。これは、ソ連が開発したSS-20が重大な脅威となっていたため、この弾道ミサイルを含めた中距離核戦力 (INF) の撤廃を求めたものである。またこのINF条約にソ連が合意しない場合、ソ連への圧力として西ヨーロッパにアメリカの弾道ミサイルを多数配備することを決定した。結局ソ連側の合意は得られず、西ドイツでは1983年からパーシング II ミサイルの配備が始まった。
この状況に対してネーナは声を上げようと、1982年頃から各メンバーが動き出していた。ギタリストのカルロは、西ベルリンで行われたローリング・ストーンズのライブに行った際に、打ち上げられた大量の風船を見てこう思ったそうだ「この風船が国境を越えたら、ソ連側はあれが攻撃でないと確実に判断するのか」。その考えから、この歌詞が書き上げられたのである。
ちなみに「99 Red Balloons」という英語バージョンもリリースされているが、テーマこそ同じものの、歌詞はかなり違っている。