Grandma Got Run over by a Reindeer – Elmo & Patsy / エルモ&パッツィ の和訳。明るいメロディーに乗せて歌われる「ばあちゃんがトナカイに轢かれてた」は、本来とは違う意味で楽しいクリスマスソング。実はある事件が基になっている。
MV
Grandma Got Run over by a Reindeer – Elmo & Patsy 和訳
ばあちゃんがトナカイに轢かれてた
クリスマスイブに 家を出て散歩してたんだ
サンタなんているわけないじゃん
でも僕とじいちゃんは 信じるしかなかった
ばあちゃんはエッグノッグを大量に飲んでた*1
外には出ないでと言ったんだけど
薬も忘れて出て行った
扉を開けて 雪の上をヨロヨロと
ばあちゃんを見つけたのは クリスマスの朝
それは襲撃後の現場だった
ひたいは蹄に踏みつけられ
背中にも 蹄の痕跡という証拠があったんだ
ばあちゃんがトナカイに轢かれてた
クリスマスイブに 家を出て散歩してたんだ
サンタなんているわけないじゃん
でも僕とじいちゃんは 信じるしかなかった
( 神様、僕らは信じています )
それにしても じいちゃんには感心するよ
心の整理がうまいんだ
だってほら もうサッカー見てるし
ビールを飲みながら いとこのベルとカードで遊んでる
ばあちゃんがいないなんて こんなのクリスマスじゃないよ
家族は全身黒ずくめ
そしてやっぱり行き着くところは
ばあちゃんのプレゼントを開けてもいいのか やっぱ返した方がいい?
( 返そうよ )
ばあちゃんがトナカイに轢かれてた
クリスマスイブに 家を出て散歩してたんだ
サンタなんているわけないじゃん
でも僕とじいちゃんは 信じるしかなかった
( 神様、僕らは信じています )
テーブルにはガチョウが並ぶ*2
イチジク入りのプディングも*3
ブルーとシルバーのキャンドルも
ばあちゃんのカツラとマッチしてる
友達にも近所の人にも言っといた
「気を付けた方がいいよ
免許を持たせちゃいけない
ソリを運転して妖精と遊んでるような奴に」
ばあちゃんがトナカイに轢かれてた
クリスマスイブに 家を出て散歩してたんだ
サンタなんているわけないじゃん
でも僕とじいちゃんは 信じるしかなかった
歌おう、じいちゃん!
ばあちゃんがトナカイに轢かれてた
クリスマスイブに 家を出て散歩してたんだ
( 気を取られてたんだ )
サンタなんているわけないじゃん
( それってどういう意味? )
でも僕とじいちゃんは 信じるしかなかった
歌おう、じいちゃん!
僕とじいちゃんは 信じるしかなかった
( 僕らはサンタクロースを信じてる )
注釈
*1 エッグノッグ (eggnog) は、卵と牛乳を混ぜた甘いドリンクで、クリスマスでは定番。ブランデーやラムなどのアルコールが加えられることも多い。
*2 クリスマスの定番は七面鳥だが、ガチョウを食べる家庭もある。
*3 プディング (pudding) はプリンではなく、ドライフルーツをふんだんに使ったクリスマスケーキのこと。
サンタのトナカイによる轢殺?事件
1964年のクリスマスイブ、息子家族が住む家から数キロ離れた場所で女性の遺体は発見された。目撃者はいなかったが、女性が出かけた直後に、女性の夫が孫を引き連れて出掛けていた。しかし二人は、自宅に向かう途中で遺体を見つけたのだと言う。
遺体には後ろから殴られた跡があった。雪に足跡がついていないことを警察は不審に思っていたが、二人は頑なにこう主張したのだ。「祖母はサンタのトナカイに轢かれたんです」
確かに現場には蹄の跡らしきものがついていた。そして現場近くにプラスチック製のトナカイの置物があったことも事実である。ただし足跡に関しては、救急隊員や捜査員などの足跡もついてしまったために決定的な証拠は得られず、真相は闇に消えた。
そして二人には無罪判決が下ったのであった。残りの家族は二人が犯人だと信じ込み、二人を家から追い出した。孫はおじいちゃん子だったが、その苦境に耐え切れず数年後に自殺し、残された祖父は湖に近いミネソタの街で、住人からの迫害を受けながら暮らした。
そんな中で老人が出会った人物が、この曲を書いたランドール・ブルックスである。話を聞いたランドールは「そんなサンタの話を信じる人がいるのか」と尋ねたところ「Me and my grandson, we believe (私と孫は信じている)」と答えたそうだ。この出会いの数カ月後、老人は公園のベンチで亡くなっていた。