Django Jane – Janelle Monáe / ジャネール・モネイ 和訳

Django Jane – Janelle Monáe / ジャネール・モネイ の和訳。女性として、黒人女性として、LGBTQIとして、ジャンゴの女性版であるジャンゴ・ジェーンは反乱を起こす。#BlackGirlMagicをテーマにした曲のひとつである。

MV

Django Jane – Janelle Monáe 和訳

オリジナル🔗Genius

[Intro]

潰され—
どうでもいい
どうでも
どうでもいい
どうでも
どうでもいい
どうでも
どうでもいい
潰され…

[Verse]

そう
これが私のお城、聖爵にシャンパンを入れて
全部カバーしておいたから 結婚指輪くらいに
ワンダランドにいる私の別名はアリス
そして私たちはプッシー・ライオットを始める
それかプッシー・ダイエットを始めさせないと
あれを見てよ 絶対アイツらを黙らせてやるから
あれを見てよ 絶対アイツらにインスピレーションを与えてやるから
アトランタの街 そこから成功をつかんだ
カンザスシティから出てきて そこから私たちは成功をつかんだ
祝福して、卒業して、合格したり落第したり
スタイリッシュでエレガント ケールと一緒にクールエイド
ママはヒーローで ホテルの清掃員だった
パパは運転手で 私は小売店で働いてた
私たちは店の裏に隠されてたけど
もう隠れはしない ムーンライトで輝く
私のホームにはオスカーがあるから
家族と一緒にグラミー賞に行ったから
仲間にトニー賞を持って帰るかも
エミー賞を取れるかも
それはメラニンいっぱいの人に捧げられる
アーチアンドロイドの編曲者
私たちはメラニンいっぱいの
アーチアンドロイドの編曲者
私のバンドのジャマナティはまだジャムってる
興行収入は群を抜いてしまって
私のバンドワゴンにはもうスペースがないわ
ルックスが男らしすぎるって言われたこともある
ブラック・ガール・マジック どうせアンタたちは気に入らないんでしょ
でも禁止することはできない 盗賊みたいに潜り抜けるから
私たちを消すために必死になってるけど
全然別の惑星に旗を掲げればいいのに
私はジェーン・ボンドで、名無しじゃない 私はジャンゴで、サンボじゃない 
黒と白 それが私の衣装
もっと銃弾が欲しいような顔してるよね
そんな奴らは切ってやるわ ゴッホみたいに
じゃあ、カメラのアングルを直して
私は殺人から逃れて、スキャンダルもない バイオリンとヴィオラを指揮してる
私たちがあなたに命を与えて 私たちがあなたを生んで
私たちがあなたに神を与えて 私たちがあなたに地球を与えた
私たちはフェム・ザ・フューチャー これ以上悪化させないでよ
世界が欲しいって? でも、そんな価値あるの?
エモティコン、ディセプティコン、オートボット、誰がプロットを変えたの?
誰が保安官を撃って パリに逃げたの?
誰が一番暗い時間に 権力に真実を訴えたの?
アンタの彼女をファンドロイドにしてやるわ
つむじ風の中 捕えられればいい
そして街をピンクに 街をピンクに塗って
そして真珠をしまっておいて 世界が終わるかもしれないから
そしてあなたはダウンドッグをしてよ
そこをどいて、大人しく座っておいて アンタには関係ないから
ミュートボタンを押して 膣にモノローグを任せるわ
マンスプレイニングを 折り紙みたいに折る
その波は何って? 津波だよ
私のカルチャーのために私は神風特攻隊になる 命を危険に晒してやるの
彼女がG.O.A.T.になっても 疑う人はいる?
彼女がG.O.A.T.になっても 疑う人はいる?
その器の人間は他にいる? 他にいる? だから、その器の人間は他にいるのかって?

[Outro]

潰され—

注釈 / 解説

“ジャンゴ・ジェーン”とは

名無しの女性のことを「ジェーン・ドウ」と呼ぶ。軽んじられている存在の意味だ。反対に「ジェーン・ボンド」や「ジャンゴ・ジェーン」は「ジェームズ・ボンド」や「ジャンゴ」などのヒーローを女性化した呼称である。特にジャンゴといえば、奴隷から解放後に元主人へ復讐を行い、妻を救う救世主だ。「サンボではなく、ジャンゴ」になることがこの曲の重要なテーマである。

#OscarTooWhite

ジャネールは映画『ムーンライト (Moonlight)』と『ドリーム (Hidden Figures)』で、女優として脚光を浴びた。『ムーンライト』はゲイの黒人少年がカミングアウトするまでの成長を描いた作品で、『ドリーム』は宇宙開発に貢献した黒人女性のキャサリン・ジョンソンをモデルにした作品である。

「#OscarTooWhite」というハッシュタグがポピュラーであるように、黒人女性として主演女優賞を受賞したのはハル・ベリーだけであり、アカデミー賞は黒人差別をしているという批判は多い。しかし『ムーンライト』が最優秀作品賞を受賞したことで、歴史は動いたと言える。キャストが全員黒人であり、またLGBTを扱った映画でもあるからだ。

エミー賞、グラミー賞、オスカー(アカデミー賞)、トニー賞をすべて受賞した人のことを「EGOT」と言う。ジャネールはグラミー賞に何度かノミネートされていて、テレビ出演に関しては『エレクトリック・ドリームズ』というSFドラマシリーズの中でアリスというキャラクターを演じた。ワンダランドというレーベルを持っているので、アリス・イン・ワンダーランドと名乗ったりしている。ただこの辺りは自分がEGOTを取りたいというよりも、黒人作品が正当な評価を受けることへの願いだと受け取れる。

黒人 / 女性 / LGBTQI の活動家へのオマージュ

プッシー・ライオットは、女性の権利やLGBTQIコミュニティーのために抗議を続けるロシアのパンクバンド。ジャネールは「フェム・ザ・フューチャー」という女性アーティストを支援する団体を運営するなどフェミニストの側面があり、活動家としてプッシー・ライオットへのリスペクトが込められている。

さらに、「I got away with murder, no scandal, cue the violins and violas」というラインには、テレビドラマシリーズの『殺人を無罪にする方法 (How to Get Away with Murder)』『Scandal (スキャンダル 託された秘密)』のレファレンスが隠れていて、ションダ・ライムズ、ヴィオラ・デイヴィス、ケリー・ワシントンといった監督や女優へのオマージュが表現されている。

「Who shot the shriff」は、ボブ・マーリーの曲「I Shot The Sheriff」のレファレンスであり、彼女にとってのヒーローの一人だ。それに続く「then fled to Paris」は、ジェイムズ・ボールドウィン、モス・デフ、ソウル・ウィリアムズ、ジョセフィン・ベーカー、ニーナ・シモンなど、アメリカの人種差別から逃れるためにパリに移ったヒーローたちのことである。

曲の締めくくりには「G.O.A.T.」という言葉が使われている。 「Greatest Of All Time (史上最強)」の略語で、それを「彼女」が名乗ることを人々はどう受け止めるのか、最後に問われている。