Haus der Lüge – Einstürzende Neubauten / アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン 和訳

Haus der Lüge – Einstürzende Neubauten の和訳。「嘘の家」の各フロアでは、それぞれ嘘をつく人たちが住んでいる。上に行けば行くほど嘘の罪は重く、家主である神はその責任を取ることになる。

ちなみにジャケットの絵はハンス・バルドゥングの木版画「Gruppe von 6 Pferden (6頭の馬の群像)」へのオマージュである。

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和訳

1階:*1
ここに住む盲目は
見るものを信じる
そして聾者は
聞こえるものを信じる
キッチンスツールに縛り付けられ
座る狂人、彼は信じる
触れられるものすべてを
(その手は膝の上にある)

2階:
1ロール、また1ロール
1枚、また1枚
ウッドチップの壁紙が貼られる
廊下には借り手たちが立って
舐めるようにその壁を見ている
1枚、また1枚と
印刷・スペルの粗探しをするが
彼らは自分の名前すら解読できない

では次の階へ:
それは、驚くことに、完成したことがなく
階段を使わないと到達できない



ここにはエラーが蓄積される、その所有者は商社
これらは床のタイルとして使用される
そして誰も踏み込んではならない

4階:
ここには建築家が住み
建築計画を進めている
多くのアイデアが詰まった建物
それは根本から天空まで
さらに原理から商社まで*2

G階:
そこには4つの扉がある
そこを開ければ
直接、外へ繋がる
正確には、礎石へ
待ちたい者は待てばいい
コンクリートが12時に到着すれば
鍬入れだ!
思考回路は停止され
頭の高さには
悪名高きブラウンか、カトリックの紫が
良い方向へ導いている*3

屋階:
そこには損傷がある
屋階に座る老人
床には死んだ天使が散らばっている
(その顔は彼に似ていた)
彼は膝の間にライフルを持つ
銃は彼の口へ向けられ
そして頭へ
頭を通り
頭を突き抜け
屋根の棟まで
銃弾は貫通した

神は自らを撃ち抜く
屋階は拡張される
神は自らを撃ち抜く
屋階は拡張される
嘘、嘘
屋階は拡張される*4

エピローグ

地階:
ここは地下室
ここに俺は住む
ここは暗く
湿って、心地よい
これが子宮だ*5

脚注

*1 日本の建築物に当てはめると、「Erstes Geschoss」が2階、「Erdgeschoss」が1階を指す。しかし流れとしておかしいので本来は「2階~5階」であるところを「1階~4階」として表記し、「Erdgeschoss (英語でいうグラウンドフロア)」を「G階」とした。

*2 この「Fundament」はキリスト教根本主義・原理主義のこと。聖書の宇宙論では、神が作り出した壮大なドームが「天空 (Firmament)」だとされているが、これは「商社 (Firma)」が作り出すビジネスとなんら変わりないことを示している。

*3 道案内の色のイメージ。ここで案内されるのは目的地ではなく、イデオロギーである。ブラウンはファシズム、紫はカトリックとして、同列に並べられる。

*4 神が自らを撃ったのは、教会が堕落した結果である。なので神が死んだという情報は「嘘」として隠蔽され、彼らはさらに屋階を増築し、バベルの塔のように神の領域へ近づこうとする。そもそも、銃弾で屋階が損傷したことにより増築が可能になったので、教会がそう仕向けたとも考えられる。

*5 「Schoß」は「子宮」の意味と、「schießen schoss (撃った)」の意味がある。また、「Geschoss」は「フロア」と「弾丸」の意味。

歌詞