Hier kommt Alex – Die Toten Hosen の和訳。アレックスとは映画『時計じかけのオレンジ』に登場するアレックス・デラージのこと。この曲はバーント・シャーデヴァルト (Bernd Schadewald) によるリメイク作品のために書き下ろされた。
Ein kleines bisschen Horrorschau (1988) 収録曲
- Hier kommt Alex
- 1000 gute Gründe
- Ein Schritt zuviel
- Keine Ahnung
- Die Farbe Grau
- 180 Grad
- Mehr davon
- Zahltag
- 35 Jahre
- Musterbeispiel
- Testbild
- Bye, Bye Alex
- Zum Chef (Später Dank)
- Jo singt (Das Wort zum Sonntag)
- Liebeslied
- Die Farbe Grau (Demo)
- Zahltag (Demo)
- Musterbeispiel (Demo)
- 1200 Grad
- Einmal in vier Jahren
- Schwarze Sheriffs
- Zigarettenautomat
時計じかけのオレンジ / Uhrwerk Orange – あらすじ
15歳のアレックスは「ドルーグ」という4人組のギャングのリーダーだ。とある夜、ドラッグ入りのミルクプラスを飲んだあと、ホームレスを襲撃し、別の不良グループを棍棒で叩きのめした。その後、盗んだ車に乗って行き着いた郊外の家宅に侵入し、家にいた男性を殴りつけ「雨に唄えば」を歌いながら目の前で彼の妻を輪姦した。
翌日、一行は裕福な老婦人の家に押し入り彼女を撲殺するが、仲間の裏切りに遭い、アレックスだけが逮捕されることとなる。アレックスには懲役14年の実刑判決が下された。
収監されてから2年が経とうとしていた頃、アレックスは刑期の短縮を求め「ルドヴィコ療法」の被験者になることを志願した。その療法とは、椅子に縛り付けられ、見開いた状態の眼球に薬を入れられ、苦しみの中で残虐行為の映像を鑑賞するというものだった。その結果、彼は暴力や性行為に拒絶反応を示すようになった。さらに、彼がこよなく愛していたベートーヴェンの「第九」がBGMに使われていたため、この曲を聴くと吐き気を催すようになった。
アレックスは出所するが、家に居場所はなかった。外をうろついていたところ、過去に彼が襲撃したホームレスと出くわし、リンチを受ける。2人の警察官に助けられるものの、それはかつてのドルーグのメンバーだった。2人はアレックスを郊外に連れ出し、凄惨な暴力を浴びせた。
その後にアレックスが目覚めた場所は、アレクサンダーの家だった。アレクサンダーはアレックスがルドヴィコ療法の被験者であることは知っていたが、かつて自身に危害を加えた人物だと認知していなかった。しかし風呂に浸かっていたアレックスが口ずさんだ「雨に唄えば」を耳にし、すべてを思い出す。アレックスは薬物を飲まされ、監禁状態の部屋で「第九」を爆音で聴かされた。その苦痛に耐えきれず、アレックスは窓から飛び降りたが死ぬことはできなかった。
数々の治療を受けたアレックスは肉体・精神ともに回復していく。一方で政府の支持率回復に余念がない内務大臣は、ルドヴィコ療法が適切な治療であることを国民に印象付けるために、アレックスにデモの依頼をする。そして大音量で鳴り響く「第九」をバックに、アレックスは邪悪な人間性を取り戻したことを国民に示した。
MV
Hier kommt Alex – Die Toten Hosen 和訳
[Intro: ベートーヴェンの第九]
[Strophe 1]
この世界にしか 住むことはできない
毎日働き詰め*1
そして残った一番の楽しみは
夜のテレビだけだ
[Strophe 2]
誰もが時計じかけのように生きている
コンピュータでプログラミングされたかのように
それに抗う者はいない
一握りの若者がうんざりしているだけ
[Strophe 3]
空に日が沈む頃
ドルーグの日は昇る
ギャングは集まり
狩りに出かけていく
[Refrain]
おい アレックスが来るぞ!
ホラーショーの幕開けだ
おい アレックスが来るぞ!
ささやかなホラーショーの幕開けだ*2
[Strophe 4]
十字軍は規律に反抗する
こんなに理想的な世界にも
破滅を祝福しろ
暴力も蛮行も
[Strophe 5]
餌食が苦しむサマを見て
満足感を得る
もう奴らを止めることはできない
無慈悲な怒りの中では
[Refrain]
おい アレックスが来るぞ!
ホラーショーの幕開けだ
おい アレックスが来るぞ!
ささやかなホラーショーの幕開けだ
[Bridge]
20人対 1人
その血を見るまで
棒を使おうが石を使おうが
いつか頭は爆発する
次のターゲットも決まってるのさ
お前の神様にこう訊いてもな
「なぜ何もしてくれないんですか?
なぜですか?」
[Refrain]
おい アレックスが来るぞ!
ホラーショーの幕開けだ
おい アレックスが来るぞ!
ささやかなホラーショーの幕開けだ
語源
*1 ここで使われる「roboten」はロシア語の「работа」に由来する。すなわち『時計じかけのオレンジ』で若者が使っている「ナッドサット」用語だ。ナッドサット用語はロシア語の影響を受けた造語である。
*2 このフレーズはアルバムタイトル「Ein kleines bißchen Horrorschau」になっている。この「Horrorschau (ホラーショー)」はロシア語の「хорошо (良い) 」に掛かっている。