Killing Strangers – Marilyn Manson / マリリン・マンソン の和訳。殺し屋の復讐劇を描いた映画『ジョン・ウィック』で使用されたこの曲は、ベトナム帰還兵である実の父親のPTSD体験を基に作られている。
MV
Killing Strangers – Marilyn Manson 和訳
[Verse 1]
世界にオペラは必要ない
俺たちがここにいるのは 仕事のため
俺たちに もっとデカいナイフは必要ない
なぜなら銃があるからだ
俺たちには銃がある 俺たちには銃がある
俺たちには銃がある 逃げてみろよ
俺たちは他人を殺すから
[Chorus]
俺たちは他人を殺す
俺たちは他人を殺す そうすれば殺さなくていい
愛する人を
[Verse 2]
俺たちは破滅を詰め込むが
感情を詰め込むことはできない
ダイナマイトに 俺たちはなるかもしれない
だからキスを飛ばせ キスを飛ばせ
キスを飛ばしてくれ お前をぶっ飛ばしてバラバラにしてやるから
[Chorus]
俺たちは他人を殺す
俺たちは他人を殺す そうすれば殺さなくていい
愛する人を
[Bridge]
そして俺たちには銃がある 俺たちには銃がある
ゴミクズは 逃げてみろよ
俺たちには銃がある
ゴミクズは 逃げてみろよ
[Chorus]
俺たちは他人を殺す
俺たちは他人を殺す そうすれば殺さなくていい
愛する人を
[Outro]
逃げてみろよ
俺たちには銃がある 銃がある 銃がある
注釈 / 解説
コロンバインの銃乱射事件で相当なバッシングを浴びたマリリン・マンソンが、アルバム「The Pale Emperor」のオープニングトラックに選んだ曲がこの「Killing Strangers」である。意図的に挑発的な内容になっている気がしなくもないが、これを聞いた世間の反応は昔と違って上々であった。この曲が生まれた背景については、The Guardianのインタビューで語られている。
2014年に母親が亡くなってからすぐ、マンソンの自宅に父親がやって来た。その際、ちょうどマンソンは戦争映画『地獄の黙示録』を見ている途中だった。
「これを見ると複雑な気持ちになるね」と父親は言う。父親曰く『地獄の黙示録』はベトナム戦争を最も的確に描いた映画だそうだ。「まあ、PTSDを語る人っていうのは、本当の意味を理解できてないだろう。あんなに人を殺してから普通の世界に戻されても、そこに順応するのはとても難しいから」
その夜、マンソンは初めて父親が「何をしてきたか」を聞かされたのである。その話によると、マンソンの父親はとても優秀な軍人だった。マーティン・シーンが『地獄の黙示録』で大尉を演じることが天職であったように、父親も軍人という職業が天職であった。つまり、エージェントオレンジをばら撒いて人を殺すことが得意であった。
そんな父親が初めてマンソンの前で涙を見せたのは、母親の弔いの場である。人が死ぬことに対して初めて感情が生まれた出来事であり、この曲のコーラスはそのことを意味している。戦争によるPTSDの余波は家庭にも持ち込まれ、マンソンの人格形成にも深く関わってきた。これもまた、戦争による代償である。