Nobody Speak – DJ Shadow / DJシャドウ feat. Run The Jewels 和訳

Nobody Speak – DJ Shadow / DJシャドウ feat. Run The Jewels の和訳。口汚く罵ったり、酷い武勇伝を語ったりするラッパーは多いが、真面目に聞くとその内容はとても滑稽だ。この口だけで中身のないスピーチは、どこかの政治家と重なったりもする。

MV

Nobody Speak – DJ Shadow 和訳

想像してみろ、俺は袋いっぱいのイチモツだ、お前の口に入れてみろ*1
俺はまじヤバくて、赤ちゃんクマの急所にパンチを喰らわせてやるぜ
生意気な口利いてみろよ、お前を庭送りにしてやるから、棒をよこせ
お仕置きだ、この会話を速攻終わらせてやるよ

俺はクラック、ガチだぜ、ライオンのケツに蹴りを入れるから*2
俺はシット、お前の家に侵入して、クソしてやるから
お前のママのケツをつねって、お前の犬を蹴って、お前のビッチを犯してやるよ
サンタみたいな格好の太った男が、お前の子供たちと写真を撮ったんだよ

俺たちが最高だから、お前の胸にしかめっ面を切り刻もう
ビッチが、俺はとんでもなくフレッシュだ、俺は高貴な人間だ
お行儀良くしろ、勃起しながら俺は裁判所に入って
叫ぶのさ「はい、私は有罪です、クソ野郎ども、俺は死をもたらす!」*3

なあ、面白いジョークを聞きたいか?
誰もしゃべるな、首を絞められたくなけりゃ*4

おい、走れよ、そして外反母趾になれ、俺様がやって来るぞ
俺はバカなんだ、お前のシステムを火炎放射でファニオン・チップスにして
お前らの仲間も火だるまだ、トランプが自分の子を犯すよりも速く*5
炎と向き合え、クズが、お前の名声と運命は尽きたんだよ

チャーリー・ブラウン、ペパーミント・パティ、ライナス、ルーシーから強盗して
コカインを入れたジョイントを巻いて、スヌーピーと一緒に吸うのさ*6
俺はまだ痰を吐きながら、股間を掴む怠け者のままだ
だって銃を持ってる奴が、お前ら黒人どもを殺すからな
ここから出てけ

誰もしゃべるな、首を絞められたくなけりゃ
誰もしゃべるな、首を絞められたくなけりゃ
誰もしゃべるな
誰もしゃべるな

事実しか言ってないさ、赤ちゃんカモが鳴けばルガー銃で撃ってやる
トップで稼ぐ、悪意に満ちた銃弾とともに警察は来る*7
それは箱詰めされて、出荷されて、購入されて、お前らも感じてんだろ
エル・ピーも圧倒的で、キラー・マイクも圧倒的で

これ以上何を言えばいい?俺たちはトップで稼ぐ
ヴィランのいないヒーロー、超卑怯な勝利
町も村も燃やせ、放火、略奪、窃盗をして
殺し屋に狙われても、俺らはそいつらの子供もろとも呪ってやるのさ

パンとボロニアソーセージを貯め込みたい*8
タダで働くわけない、お前に対して意識すら向けてやらねえよ
だから物乞いジョニーとそいつのママに、消えろと言え
ほら、銃を持て、息子よ、走るんだ、排水溝の方へ
また撃つため、新たな一日を生きろ*9

誰もしゃべるな、首を絞められたくなけりゃ
誰もしゃべるな、首を絞められたくなけりゃ
誰もしゃべるな
誰もしゃべるな
誰もしゃべるな、首を絞められたくなけりゃ

注釈 / 解説

*1 くたばれという意味で「suck my dick」とよく言うが、その派生形で「suck a bag of dicks」というフレーズができた。そして袋入りのキャンディが出現した。

*2 「crack」はクラックコカインとお尻の割れ目のこと。「I’m the shit!」は「俺が一番!」の意味でラッパーがよく使う言葉だが、直訳してみると「私は💩」。「bitch」も「女 (ビッチ)」と「犬」の意味がある。また、エル・ピーがdick、キラー・マイクがcrackなので、二人合わせると「glass dick (クラックパイプ)」になる。

*3 「I am death (俺は死をもたらす)」という部分は、原爆の父であるロバート・オッペンハイマーの有名な言葉「私は死、世界の破壊者だ(Now I am become Death, the destroyer of worlds)」の引用だと思われる。

*4 イージー・Eの「Nobody Move」より「Nobody Move, Nobody Get Hurt (動くな!怪我したくなけりゃ)」を捩っている。銀行強盗と強姦を自慢しているこの曲は、ここでバカにするにはピッタリ。

*5 ドナルド・トランプは娘のイヴァンカについて、性的なコメントを数多く残している

*6 「woolies」「toolies」「moolies」は、ノトーリアス・B.I.G.の「My Downfall」のレファレンス (Some old school cats that call gats toolies / Call blacks moolies, think it’s cool to smoke woolies)。ここではスヌーピーもライムに加えられている。

*7 オーディオ・トゥーの「Top Billin’」からの引用。

*8 「bread (パン)」や「bologna bundles (ボロニアソーセージ)」はお金の意味。

*9 「he who fights and runs away, lives to fight another day (戦って逃げる者は、また新たな日で戦うために生きる)」というイディオムの捩り。

ウクライナ・ハウス
via WikiCommons

このMVもよく観察してみると、面白いレファレンスがいろいろありそうだ。まず、撮影場所がウクライナ・ハウス (Український дім)であること。もともとこの建物はレーニン美術館として1982年に建設されたもので、ソ連崩壊後もそのまま残っていたが、1993年に改名して国際展示場となっている。2014年のユーロマイダン以降、この建物の持つ意味に変化があったようだ。

動画にはユーリヤ・ティモシェンコらしき人物が登場している。彼女はヴィクトル・ユシチェンコと共にオレンジ革命を主導した政治家。2010年の大統領選挙でヴィクトル・ヤヌコーヴィチに敗れるが、投票操作を主張していた。2011年に彼女が横領罪で逮捕された時、この逮捕は政治的動機ではないかと指摘された。ユーロマイダンでヤヌコーヴィチ政権が崩壊した後にティモシェンコは釈放された。

動画にはペンを真っ二つにする場面がある。ユーロマイダン発生後に亡命したヤヌコーヴィチが、会見の最後に怒りをペンにぶつけるも、二つに割れなかったという悲報は一部で話題になった

また、ウクライナの議会(ラーダ)では、なかなかに激しい争いが繰り広げられていた過去がある。たまたま撮ったラーダでの争いがあまりにも黄金比で、ルネッサンス絵画と並べられたこともある。

最後に登場する掃除係の女性は、政治家たちが散らかした現場を片付けることになる。つまりこの女性は、市民の代表ということか。

歌詞 / Original Lyrics