TV-Glotzer – Nina Hagen Band / ニーナ・ハーゲン・バンド 和訳

TV-Glotzer – Nina Hagen Band / ニーナ・ハーゲン・バンド の和訳。ザ・チューブスの「White Punks on Dope」のカバー。ただし歌詞は書き換えられていて、カラフルなテレビ画面でしか「西」を見ることができない当時の心境を歌っている。

MV

TV-Glotzer – Nina Hagen Band 和訳

オリジナル🔗Genius

レディース&ジェントルメン、今宵のご機嫌はいかがでしょう
今日のテレビ番組へ、私があなたをお連れします
お受け取り頂けますと幸いです

孤独!
世界は私のことを忘れ去った
外でうろつけば
何もかもぐちゃぐちゃにして
家に座ってれば
何もする気にならない
年寄りの気分よ
沼地にいるお婆ちゃんみたいにね!

私はテレビをつける
ダルトンズも、ウォルトンズも、みんな
私は東から西を見つめる、2、5、4
決められるはずないじゃない
ここでは何もかもカラフルだから!
私はテレビを見つめる
私はテレビを見つめる

私はもう死んでるわ!
これが私の人生なの?
私の美しいファンタジー!
私のスイッチは壊れてるわ

私はテレビを見つめる
ハピネス!フラッチ、フラッチ!ファン、ファン!
私は東から西を見つめる、2、5、4
決められるはずないじゃない
ここでは何もかもカラフルだから!
私はテレビを見つめる
私はテレビを見つめる

頭がおかしくなるわ
もう、本には手も触れたくない
文学?オエッ、オエェェーッ!
吐き気がする
医療小説なんて12歳の時に捨ててきたの
ほら、よく読んでるでしょ!ね!
それにこのワッフルは期限切れ、ゲェェーキモッ!
そしてこのクソみたいなチョコがぶくぶく太らせる
ぶくぶく、ぶくぶく、サイアクだわ!

私はテレビを見つめる
ハピネス!フラッチ、フラッチ!ファン、ファン!
私は東から西を見つめる、2、5、4
決められるはずないじゃない
ここでは何もかもカラフルだから!
私はテレビを見つめる
私はテレビを見つめる
私はテレビを見つめる
私はテレビを見つめる
私はテレビを見つめる、テレビを、テレビを、テレビを
私はテレビを見つめる
テレビはドラッグ
テレビは中毒にさせる
テレビ、テレビ、テレビ、、、

注釈 / 解説

オリジナルの曲のタイトルは「ドラッグ漬けの役立たず」という意味。これは「ドラッグに溺れる人間は貧乏人だ」という上流階級者の偏見を表している。実際は金持ちであろうがクスリにハマっている人もいるわけで、この偏見があるために周りには言い出せない上流階級の中毒者が「俺たちはドラッグ漬けの役立たずだ」と自虐的に歌っている。

また、オリジナルには「Hang myself when I get enough rope (十分なロープを与えられたら首を吊ろう)」という歌詞がある。これは「自由を与える」という意味のイディオム「give them enough rope」を「十分なロープを与える」と文字通りに解釈した表現で、つまり現在は自由が与えられていないこと、そして与えられたとしてもこの社会において居場所がないことを表している。ちなみにこれに対する答えが、ザ・クラッシュの「Give ‘Em Enough Rope (そいつらに十分なロープを与えろ)」だったりする。

ニーナによる歌詞は、彼女が東ドイツから西ドイツへ亡命する前に書かれている。しかし当時西ドイツへ逃げる方法は「カラフル」な世界を映し出すテレビにかじりつくだけだった。逃れようにも逃れられない現実から目を背けるためにテレビの「中毒者」になるのだ。ただし「Ick hänge rum」のようなコテコテのベルリン方言を使う辺り、彼女が歌っているのは上流階級者ではなさそうだ。この点はオリジナルと決定的に違う。

要約すると、コーラスの「俺たちはクスリ漬けの役立たず」も「私はテレビを見つめる」も、どちらも未来のない中毒者であるという点で共通している。