Merrie Land – The Good, The Bad & The Queen の和訳。2016年6月13日、イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票が実施され、離脱支持が残留支持を上回った。この曲はこの結果を受けて書かれた。
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和訳
去って行くなら さよならを言ってくれ
去って行くなら シルバージュビリーのマグカップを残してくれ*1
俺の古い旗
俺の真っ暗な森
俺の日の出
去って行くなら せめてさよならを言ってくれ
去って行くなら 番号を残してくれ
俺は荷物を詰めるよ
そしてタクシーに乗り込んで
君に手を振るから
朝早く 海へドライブに行こう
ビーチに立ち尽くしていれば 雷は激しさを増す
俺はその声だけを聞いていたい
それだけが 俺が崇める幽霊だ
こんな状態が一日中続く
いずれにしろ もう俺にできることはない
ここで俺は何をしてるんだ?
君を待ってるって?
ねえ
じゃあ鉄道を作り直して
全部の道を固め直せばいいさ*2
誰も去って行かない
これが君の家だから
馬も 狐も 羊も 牛も
ひざまずいて挨拶をする
この前進を祝うファンファーレ どうせいつもと同じさ
街になだれ込むピエロに歓声を浴びせるんだ
でもその表情は疲れ果てて 悲しみが見える
彼らが目にしてきた酷い物事が 持ち込まれていく
オイルで塗られた空の絵画に*3 すべては消えていく
このメリーランドで
君は俺のカラスだ 窓をガタガタ揺らして
香水の谷で泣いてるんだ*4
メリーイングランドの暗い池*5
深宇宙がこだまする
乗り込めよ モ…
何て言った? モビリティ (君は飛べるよ)
モビリティフーターに乗り込め…*6 (月へ)
フーターって…ハハハ
モビリティフーターって…ハハハ
(いつの日にか)
モビリティフーターにつかまれよ
半額になってるから
これはレトリックじゃない*7
俺の心の声だ
この国を愛してるんだ
デーンランド*8 俺は君の子孫だ
君たちと力を合わせてきたんだ
ポケットに金を突っ込もう
上級国民のポケットに アイツらの資産にしよう
アイツらは学校のベンチに人を集めて
俺たちをコケにする 俺らのことはどうでもいいんだから
見苦しいヤツらとは 一緒にいるな
俺たちの繋がりなんてない アイツらは豪邸で育ってきてるんだぞ
クジラの腹には 200枚のプラスチック袋
そしてトライデントを進めるんだろ*9
これが緑なのか? これが心地いいのか?*10
俺らはどちらでもないよ 神様
震えたガラクタだ 何も育たない場所で
オイルまみれになった空の*11 メリーランドに消えていく
月まで飛んでいけるよ
いつの日にか
脚注
*1 シルバージュビリー (silver jubilee) は、25周年記念の意味。ここでは1977年に販売された、エリザベス女王の即位25周年を記念したマグカップを指している。
*2 EUを抜けるということは、入国規制を強化する必要がある。つまり交通インフラを整備しないといけない。
*3 ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されている、ウィリアム・ターナーの『解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号、1838年 (The Fighting Temeraire, tugged to her last berth to be broken up, 1838)』を指している。
*4 英名で「谷のユリ (lily of the valley) 」と呼ばれる、スズランのことだと思われる。別名「Our Lady’s tears (聖母マリアの涙)」。これは、キリストの磔刑でマリアが流した涙がスズランになったという伝説に基づいている。また、スズランは香水にも使われている。
*5 メリーイングランド (Merry England) は、産業革命前ののどかで平和な「ユートピア」としてのイギリスを指す。
*6 ここではモビリティスクーターと言いたかったところ、わざと「モビリティフーター」と言っている。「Mobilised Hooters」をそのまま訳すなら「電動式おっぱい」。
*7 レトリック (rhetoric) は修辞学のことで、聴衆を扇動する目的で使われる技法。
*8 デーンランド (Daneland) は、かつてデーン人 (現在のデンマーク人) に支配されていたイングランドの土地を指す。
*9 トライデント (trident) はイギリスの戦略核ミサイルである。
*10 ウィリアム・ブレイクの有名なフレーズ「green and pleasant land (心地よい緑の大地)」から。
*11 ターナーの絵画に対しても「sky coloured oil」が使われているが、ここでは環境汚染の意味で使われている。
歌詞