Mein kleiner grüner Kaktus – Max Raabe & Palast Orchester の和訳。マックス・ラーベによるコメディアン・ハーモニスツ (Comedian Harmonists) のカバー曲。「私の小さな緑のサボテンちゃん」は、有閑階級が過度に増やす「赤い花々」への静かな対抗心をユーモラスに表現している。
コメディアン・ハーモニスツは男性グループだが、「花を育てる」ことは女性的である。この曲が作られたのは1934年で「新しい女 (Neue Frau)」と呼ばれる自立心の強い女性も多く現れた。したがって語り手はおそらく労働階級の女性だと思われるが、ここではマックス・ラーベが歌っていることを考慮して訳している。
Eine Nacht in Berlin (Live) (2014) 収録曲
- Ich bin nur gut, wenn keiner guckt
- Marie, Marie
- Schone Isabella aus Kastilien
- Speak Low
- Mir kann nichts passieren
- Wir sind von Kopf bis Fus auf Liebe eingestellt
- Ich schlaf am besten neben Dir
- I Won’t Dance
- Kleine Lugen
- Fur Frauen ist das kein Problem
- Du passt auf mich auf
- Lasst mich rein, ich hor Musik
- Moritat von Mackie Messer
- Am Amazonas
- Am Ende kommt immer der Schluss
- Kussen kann man nicht alleine
- Mein kleiner gruner Kaktus
- Schlaflied
- Du passt auf mich auf
MV
Mein kleiner grüner Kaktus – Max Raabe & Palast Orchester 和訳
[Strophe 1]
庭に咲く
20種の花々
バラにチューリップにスイセン
あんな花を育てるのは
どうせお金持ち*1
僕は知りたくもないね
[Refrain]
僕の小さな緑のサボテンちゃんは 外のバルコニーにいるんだ
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!*2
赤いバラなんて 赤いケシなんて 必要ないよね?
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
悪い人間に嫌味を言われたって
僕のサボテンちゃんを持って来れば そのトゲでチクッ チクッ チクッ!
僕の小さな緑のサボテンちゃんは 外のバルコニーにいるんだ
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
[Strophe 2]
ほとんどの人は
その人の性格が
育てる花と一緒だと言う
でも僕は毎日こう言ってる
それは違うと
じゃあ僕は何だって言うんだ?
[Refrain]
僕の小さな緑のサボテンちゃんは 外のバルコニーにいるんだ
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
赤いバラなんて 赤いケシなんて 必要ないよね?
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
悪い人間に嫌味を言われたって
僕のサボテンちゃんを持って来れば そのトゲでチクッ チクッ チクッ!
僕の小さな緑のサボテンちゃんは 外のバルコニーにいるんだ
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
[Strophe 3]
今日の朝4時
扉を叩く音がした
誰だよ こんな朝っぱらから?
それはクラウゼさん
お隣さんだ
そしてこう言う ちょっとお尋ねしたいんですが
[Refrain 2]
あなた外のバルコニーに サボテンを置いてますよね
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
今それが落ちてきたんですが どうしてもらえます?
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
私の顔に落ちてきたんです 信じてもらえるかわかりませんが
あなたの小さな緑のサボテンちゃんは刺してきたんですよ!
そのサボテンは別のどこかに置いていただくと結構かと!*3
ホーラリ ホーラリ ホーラロ!
注釈
*1 「Die feinsten Leute」の「fein」は基本的に良い意味で使われる言葉で、直訳をすれば「良い人々」になる。しかしこの言葉はチャールズ・チャップリンの映画『のらくら (The Idle Class)』の独題である。さらにヴェブレンの「有閑階級の理論」の独訳でもある (Theorie der feinen Leute)。「有閑階級」とは、働かずとも生活できる、暇を持て余した「怠惰階級」のことである。
*2 「ホーラリ、ホーラリ、ホーラロ! (Hollari, hollari, hollaro!)」は鼻歌なので言葉自体に特別な意味はないが、優雅に生活しているような印象を与える。お金をかけなくても豊かな生活を送れることを強調している。
*3 言い換えると「危険物を外に出すな」ということだ。この曲における「緑のサボテン」は社会への反抗でもあり、過激な社会批判はほどほどにしておけという意味にも捉えられる。