Werewolf – Fiona Apple / フィオナ・アップル 和訳

WerewolfFiona Apple の和訳。「狼男」との関係を断ち切るためのカタルシス的な曲。最後の方で子どもが叫びながら遊ぶ声が聞こえるが、これはターナー・クラシック・ムービーズで銃声に逃げ惑う人々の声を再現したものである。

The Idler Wheel Is Wiser Than The Driver Of The Screw And Whipping Cords Will Serve You More Than Ropes Will Ever Do (2012) 収録曲

MV

Werewolf – Fiona Apple 和訳

オリジナル🔗Genius

[Verse 1]

まるで狼男だね 死んだ私を置き去りにしていくところが
でも満月を与えたのは 私なんだけど*1
まるでサメだね 私の頭を喰いちぎっていくところが
でも結局 血だらけで泳いでたのは私なんだけど*2

[Chorus]

でもあなたは素晴らしい人 私の匂いを嗅ぎつけるまでは*3
私たちはまるで 願い井戸と電圧みたい*4
でもまだお互いを支え合っていける やるべきことはお互いを避けること
おかしくなんてない 曲がマイナーキーで締めくくられても*5
おかしくなんてない 曲がマイナーキーで締めくくられても

[Bridge]

煮え立つ火山の溶岩が 海底から噴火する
ひとつの物事は別の物事へ繋がっていく あなたが私の島を作ったように*6

[Verse 2]

まるで化学物質 あなたに作られた私は
複雑な合成物*7
でも私は化学物質でもあるから
あなたと私が混ざり合うのは当然
他のいろんなことに例えられるけど いつも辿り着くところは
結局私は合理的で
その補正はフィクションだと知ってる

[Chorus]

でもあなたは素晴らしい人 私の匂いを嗅ぎつけるまでは
私たちはまるで 願掛け井戸と電圧みたい
でもまだお互いを支え合っていける やるべきことはお互いを避けること
おかしくなんてない 曲がマイナーキーで締めくくられても
おかしくなんてない 曲がマイナーキーで締めくくられても
おかしくなんてない 曲がマイナーキーで締めくくられても
おかしくなんてない 曲がマイナーキーで締めくくられても


注釈

*1 狼男 (werewolf) は、昼間は普通の人間だが、満月の夜になると狼に変身して人を食い殺す。また「liken (~に似る)」は「Lycan (狼男)」と発音がほぼ同じである。

*2 サメは血の臭いに非常に敏感で、100リットルの水中にある1滴の血でも感じることができるうえ、400m先からでも血を嗅ぎつけてやって来る。よって、血が流れた人間の方が襲われやすい。ここでは相手が獰猛な獣であったこと、それを誘き寄せた原因がフィオナ自身にあることを意味している。

*3 獲物であることを認識した瞬間。

*4 言い換えると「水と電気」の危険な関係のこと。「願い井戸 (wishing well)」は、その井戸で口にした願いが叶うと言われている。願い井戸がファンタジーの象徴である一方、電気は実世界に存在する極めて現実的な物理現象である。

*5 マイナーキーは一般的に悲しみを表す音程である。たいていの音楽はマイナーキーではなくメジャーキーで終わる。

*6 ここでは二人の関係が「海と溶岩」に例えられている。海は火山噴出物を冷却し、そこから溶岩島を作り出す。すなわち溶岩を孤島にして取り残し、去って行くのである。

*7 「compound」には「合成する」「混ぜる」以外に「悪くする」という意味もある。