Paper Planes – M.I.A. 和訳

Paper Planes – M.I.A. の和訳。彼女の代表曲である「紙飛行機」は「偽造したビザ」のことを指す。ビザ偽造に加えて、麻薬密売、強盗など「移民のステレオタイプ」を演じることで、いかに人々が移民に対して先入観、嫌悪感を持っているかを示している。

MV

Paper Planes – M.I.A. 和訳

オリジナル🔗Genius

[Verse 1]

紙切れみたいに飛び回って、飛行機くらいにハイになるの
国境で捕まっても、私の名前のビザがあるし
ここに来るなら私に言って、一日中これを作ってるし
秒で終わらすよ、ちょっと待ってくれるなら

[Verse 2]

列車に座りながら、思ったりする*1
降りる駅がどこであれ、私がゲームの覇者になるんだって
誰もが勝者、私たちは名声を勝ち取るの
裏社会で稼いで、私は名を馳せるの

[Chorus]

私がしたいのはー(💥💥💥🔫)、それにー(💰)
アンタの金を奪うから

[Verse 3]

海賊の髑髏と骨
枝に石、ハッパにクスリ
投げつけては走り去る
政治制度への致死毒*2

[Verse 4]

街角にいるヤツら、私らほどヤバくはないよね
プリペイド携帯に連絡してきてよ
UPSトラックみたいに、詰めて運んであげるから
もうハードモードだけど、もっとガスを入れてちょうだい*3

[Chorus]

私がしたいのはー(💥💥💥🔫)、それにー(💰)
アンタの金を奪うから

[Bridge]

M.I.A、第三世界の民主主義国*4
私には、KGBより前歴がある
だから、そう、下手な真似しないで (準備できた?)
何人か、何人かは、殺すけど
何人かは、解放するわ
何人か、何人かは、殺すけど
何人かは、解放するわ

[Chorus]

私がしたいのはー(💥💥💥🔫)、それにー(💰)
アンタの金を奪うから

注釈 / 解説

移民を乗せる列車
via WikiCommons

M.I.A.の両親はスリランカ・タミル人である。彼女はスリランカで過ごした幼少時代にスリランカ内戦を経験し、11歳の時に難民としてロンドンへ渡った。サンプルされているザ・クラッシュの「Straight To Hell」が象徴するように、彼女のような移民へ向けられたヘイトがこの曲のテーマとなっている。

この曲のリリース時もスリランカ内戦は進行中だった。LTTEメンバーだった父親、そしてこの曲の攻撃性も相俟って「テロ組織のプロパガンダを広めているテロリスト」と批判を浴びることもあった彼女だが、タミル人がスリランカ政府によって虐殺されている惨状を訴え続けた。

コーラスの銃声は、単に強盗による発砲を表しているだけではなく、第三世界に銃を売りつけて金儲けをする先進国、そして実際に発砲されたこともある彼女の「ルーツ」の音である。


*1 「野獣 (La Bestia)」と呼ばれる貨物列車のことを指していると思われる。命の危険を伴いながらも、移民たちはこの列車に乗ってメキシコからアメリカへ密入国する。

*2 「海賊の髑髏」とは、危害を加えるというメッセージの込められた海賊旗のこと。「枝や石」を投げつける行為はプロテストの意志を表し、さらに「ハッパやクスリ」を流す移民は、社会にとって致命的だということ。

ジョリー・ロジャー
via WikiCommons

*3 プリペイド式携帯は、密売人にとって好都合な使い捨てツール。UPSは輸送会社のことだが、ここで詰めて運ぶものはドラッグである。「pumping that gas (ガスを入れる)」もドラッグを指しているだろうが、ガソリンスタンドで働く移民が多いことを意味しているのかもしれない。

*4 「第三世界の民主主義国」とは、スリランカ、特にタミル人を抑圧したシンハラ政府のことだろう。