A Fond Farewell – Elliott Smith / エリオット・スミス 和訳

A Fond Farewell – Elliott Smith / エリオット・スミス の和訳。ヘロイン中毒の自分に別れを告げようとするも、すぐに刹那的な安らぎを渇望してしまう日々の葛藤を「善と悪のロマンス」として歌っている。

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和訳

白黒になったライトブライト
君がおかしな絵を取り除いたからだ
輝くシートの上で燃えるピッチ
君が唯一会おうとする創造主
リビングにいる、死にそうな男
その影は床を這い
開いたドアから君を連れ出す

これは俺の人生じゃない
それは前向きな、友との別れ
それは自分じゃない
それは前向きな、友との別れ
まともになれなかった
友との別れ

彼は言った「本当に、俺は踊りたいだけなんだ」
善と悪が見事にマッチした、世紀のロマンス
そして俺は、この精神の痛みに対処できる
それが高次脳機能を低下させれば
消えるインクで血管は満たされ
キッチンシンクで嘔吐し
ミシングリンクと断絶し

これは俺の人生じゃない
それは前向きな、友との別れ
それは自分じゃない
それは前向きな、友との別れ
まともになれなかった
友との別れ

去って行く君を見た
君は敵と対峙する
どっちつかずの、冷たい安らぎ
人間に少し及ばず
幸せなハイに及ばず
自殺までに及ばない
君が本気でやることはそれだけで

これは俺の人生じゃない
それは前向きな、友との別れ
それは自分じゃない
それは前向きな、友との別れ
まともになれなかった
友との別れ

脚注

ライトブライト
by Kelly Sikkema

「ライトブライト」は、ピースを組み合わせてピクセルアートを作るための子ども用のおもちゃ。ここではドラッグを象徴している。そのおかしな絵を取り除くことにより、ライトブライトはモノクロに変わる。つまりドラッグを断つことにより、ドラッグから得られる多幸感を失う。輝くシートはアルミホイル、ピッチはタールのことで、ブラックタールヘロインの吸引を表す。「創造主 (メーカー) に会う」は「meet one’s maker」というイディオムの直訳に当たり、「創造主に会う」→「天国に行って神 (創造主) と会う」→「死ぬ」を意味する。死にそうな男が「リビング」ルームにいるという強烈なコントラストを用いて、その自滅的な日常の姿を捉えている。

2番目のバースは、中毒の誘惑とそれに屈する姿が綴られる。しかし注射の効果は「消えるインク」のようにすぐに消滅してしまう。最後のバースで示されることは、人間らしくもなく、幸せな高揚感にも至らず、自殺紛いの行為だけが繰り返されているという現実である。

歌詞