Rauch-Haus-Song – Ton Steine Scherben / トン・シュタイネ・シャーベン の和訳。かつて病院であったゲオルク・フォン・ラウホ・ハウスという廃墟の占拠事件を題材にした曲。建物名の由来となったゲオルク・フォン・ラウホは、この事件の数日前に警官に殺害されたアナーキストである。
MV
Rauch-Haus-Song – Ton Steine Scherben 和訳
[Strophe 1]
マリアンネ広場は青く*1 大勢の警察が集まっていた
マイヤーは叫んだ*2 あれは多分催涙ガスだと
彼は近くの人に尋ねた「すみません、今日はパーティーでもあるんですか?」
「そんなものかな」その人は答えた「ベタニエンが占領されてるんだよ」*3
「やっとこの日が来たんですね」マイヤーは言った「あそこはずっと廃墟だったし
まあ人生は美しいはずですよね 警察なんていなければ」
行動指導者が叫ぶ*4 「アリアンネ広場から出て行け
警備員が殴れるくらいの広さを作れ!」
[Refrain]
しかし占領された家で人々は叫ぶ
「ここから絶対に離れない!
これが私たちの家だ だから
クロイツベルクから シュミットとプレスとモッシュを追い出せ!」*5
[Strophe 2]
上院議員は怒り出し CDUも激怒した*6
自分たちのものを そんな輩に取られてしまうから
しかしその寛大さを世界に示すため
彼らは言った「立ち退きはあとにしようじゃないか 今のところは放っておこう!」
4か月後 話題のシュプリンガー新聞紙には
ゲオルク・フォン・ラウホで 爆弾が製造されていると書かれていた*7
その確たる証拠は 10本のワインの空瓶
その空瓶は すぐに10本の火炎瓶になるとさ
[Refrain]
しかし占領された家で人々は叫ぶ
「ここから絶対に離れない!
これが私たちの家だ だから
クロイツベルクから シュミットとプレスとモッシュを追い出せ!」
[Strophe 3]
先週の月曜日 マイヤーは地下鉄で乗り合わせた息子に
こう言われた「ラウホハウスから立ち退かせたいんだって
また実家で暮らすことになるのかな」
「そんなバカな」マイヤーは言った「じゃあもうひとり
2階建てのアパートに人が増えて ベタニエンは空っぽになるのか
教えてくれ 奴らの頭には藁か糞でも詰まってるのか?
奴らは豪邸に住んで 市民は全部後回し
どうしてもラウホハウスから立ち退かせようとするなら
父さんが現場に行って 最初に現れた警官の
頭を叩き割ってやろう」
[Refrain]
しかし占領された家で人々は叫ぶ
「ここから絶対に離れない!
これが私たちの家だ だから
クロイツベルクから シュミットとプレスとモッシュを追い出せ!」
[Refrain (3x)]
しかし占領された家で人々は叫ぶ
「ここから絶対に離れない!
これが私たちの家だ だから
クロイツベルクから シュミットとプレスとモッシュを追い出せ!」
注釈
*1 マリアンネ広場 (Mariannenplatz) は、ベルリンの壁近く、フリードリヒスハイン=クロイツベルク区クロイツベルクにある広場。
*2 「Mensch Meier」は驚きを表す間投詞だが、ここでは擬人化され「マイヤー」というアナーキストとして描かれている。
*3 ベタニエン (Bethanien) はマリアンネ広場にある建物で、もともとは病院だった。1971年にゲオルク・フォン・ラウホ・ハウスが占領された際に、トン・シュタイネ・シャーベンのメンバーも暴動に巻き込まれている。
*4 行動指導者 (Einsatzleiter) は、ナチ党の階級制度のひとつ。
*5 不動産業を営むギュンター・シュミット (Günter Schmidt) の会社 (Schmidt & Press) と、同じく不動産業者のハインツ・モッシュ (Heinz Mosch)のこと。当時、クロイツベルクを再建する動きがあった。
*6 CDUはドイツの中道右派政党である「ドイツキリスト教民主同盟」の略称。
*7 アクセル・シュプリンガーはドイツのジャーナリストで、アクセル・シュプリンガー社の創業者。シュプリンガー社の子会社である「B.Z.」が「Bastelten Bethanien-Besetzer die Bomben? (ベタニエン占領者が爆弾を製造?)」という記事を出した。