Iron Lung – King Gizzard & The Lizard Wizard / キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード の和訳。「鉄の肺」とは、主にポリオ患者が使用していた、首から下が完全に覆われる人工呼吸器。この刑務所のような装置で生きる苦しみが表現されている。
MV
Iron Lung – King Gizzard & The Lizard Wizard 和訳
[Verse 1]
ねえ
俺は牢獄に入れられたんだ
体は機能しなくなった
そして俺に残るものは、この鉄の肺だけ
[Verse 2]
鉄に包まれる
死のない煉獄
陰圧の中の
空気のない呼吸
鉄に包まれる
死のない煉獄
陽圧の中の
空気のない死
[Verse 3]
全く別のものになってしまった
空振りばかり
目と唇で踊り
腰は動かせない
シュッシュッという音から気を逸らして
前向きに、正気を保つ
ビスケットのように崩れていられない
[Chorus]
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
[Verse 4]
スペースシャトル
カタツムリの殻
メリーゴーランド
ベルトコンベア
戦車のような人工呼吸器
ロデオのようなマスク
金属のサナギでいる退屈さ
バイオニクスの少年
俺の臓器に空気を送ってくれ
重力の中心
惑星の俺
マッシュルームをくれ
去る時間だ
[Chorus]
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
[Instrumental]
[Bridge 1]
カエル呼吸、スチームテント
首の麻痺
カエル呼吸、スチームテント
見えない未来への恐怖
カエル呼吸、スチームテント
首の麻痺
胸の鬱血
ピンと針で刺す痺れ、まるでヴードゥーの悪魔
医者は困惑する
すべての呼吸が上り坂の戦いのよう
カエル呼吸、スチームテント
首の麻痺
胸の鬱血
[Bridge 2]
カエル呼吸、スチームテント
首の麻痺
カエル呼吸、スチームテント
見えない未来への恐怖
カエル呼吸、スチームテント
首の麻痺
俺を鎮静させて
[Verse 5]
ねえ
船は出航して
列車は脱線する
そして俺に残るものは、この鉄の肺だけ
[Verse 6]
鉄に包まれる
死のない煉獄
陰圧の中の
空気のない呼吸
鉄に包まれる
死のない煉獄
陽圧の中の
空気のない死
[Verse 7]
全く別のものになってしまった
空振りばかり
目と唇で踊り
腰は動かせない
シュッシュッという音から気を逸らして
前向きに、正気を保つ
ビスケットのように崩れていられない
[Chorus]
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
[Verse 8]
円筒の刑務所
新しく誕生した
巨大な文鎮に繋がれて
弱まる痛み、広がる暗闇
つま先は浸漬して
胸に圧し掛かる
俺の脳は、鉄の胸に圧迫される
[Chorus]
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
鉄の肺
注釈
「鉄の肺」と呼ばれる人工呼吸器では、タンク内を「陰圧」にして胸郭を広げ、これを平圧に戻すことで呼気を発生させる。ポリオに罹ると手足などの麻痺のほか、呼吸するための筋肉が麻痺するため、自発的に呼吸を行うことができなくなる。そのためにこのような大がかりな装置が必要であった。歌詞中に登場する「カエル呼吸 (frog breath)」も別の呼気法のひとつ。「スチームテント (steam tent)」も蒸気を吸入させるための装置のこと。
現在では陽圧換気による人工呼吸器が主流となっており、「鉄の肺」を今でも使用する人はたった一人である。ポール・アレグザンダー (Paul Alexander) は6歳の時にポリオに罹り、首から下が完全に動かなくなった。その後、呼吸ができなくなったため「鉄の肺」で呼吸をすることとなる。
彼はこの苦境の中で勉学に励み、弁護士となった。さらに8年の歳月をかけて完成させた「Three Minutes for a Dog: My Life in an Iron Lung」という自叙伝を2020年に出版している。