Lullaby – The Cure / ザ・キュアー 和訳

Lullaby – The Cure の和訳。子どもを怖がらせることが大好きだったロバート・スミスの伯父さんは、「クモ男」という怪談話を寝る前によく囁きに来たらしい。そんな子どもの頃の悪夢を再現した曲なのだが、その表現には意味深な部分も多い。

シングル・アルバム情報

Disintegration (1989) 収録曲

ミュージックビデオ・オーディオ

和訳

この小さな目の端に見えるもの
「く」から始まるそれは何?

キャンディの縞模様の足で、クモ男はやって来る
夕陽の影を、そっと通り抜け
幸せな死人の窓に忍び込む
ベッドで震え上がる獲物を探してるよ
広がる闇の中で、恐怖を探してるよ
そして突然、部屋の角で何かが動く
でもそれに気づいた時、恐怖で僕は何もできない
クモ男の晩餐は僕なんだ

男は静かに笑って、頭を振る
ゆっくりと這いつくばって、ベッドの足元へ近づいてくる
影よりも柔らかく、ハエよりも速く
その腕に巻き付かれ、その舌は目の中へ
動かないで、落ち着いて、静かにして、僕の大切な子
そんな風に抵抗しないで、じゃないともっと君を愛してあげるよ
逃げるにも、明かりをつけるにも、もう遅すぎる
クモ男の晩餐は僕なんだ

まるで食い荒らされていくよう
1000万個の、震える毛だらけの穴に
でもきっと朝には
震えるような寒さで目覚めるんだろう
そしてクモ男は、いつもお腹を空かせてる

「僕の部屋においで」クモはハエに言った
「見せたいものがあるんだ」

解説

夜中に一人きりの男の子を食べに襲ってくる怪物、それをロバートの伯父さんはシンプルに「クモ男 (spiderman)」と呼んでいて、度々この話をしてはクモ男への恐怖を植え付けていたらしい。伯父さんは怪談話に飽き足らず、ある夜、消灯後のロバートの寝室へ窓から侵入。そこで何が起きたかは語られていないが、ロバートは相当な悲鳴を上げたらしく、クモ男の話はこれ以降されなくなったそうだ。しかし暗闇とクモへの恐怖はしばらく残り、そういったトラウマ体験がこの曲に反映されている。何かの隠喩のようにも思えるクモ男だが、その辺りは特に明言されていない。ちなみにMVの監督を務めたティム・ポープは、ドラッグ中毒の過去を歌ったものだと解釈しているそうだ。

イントロには「I Spy」という子どもがよく遊ぶゲームで使われる定型句が使われている。このゲームではスパイになった人が、目の前にあるものをひとつ選んで「I spy with my little eye something beginning with…(この小さな目でスパイしているもの、その頭文字は~)」と言い、他のプレイヤーはそれが何を指しているかを当てる。ここでは「目の端」に「S」から始まるものが見えると言っているので、「spiderman」が近くにいることを示している。

そしてアウトロは、メアリー・ハウイットの詩『クモとハエ (The Spider and the Fly)』の引用である。ハエを言葉巧みに部屋へ連れ込もうとするクモの話だ。

歌詞