November Has Come – Gorillaz / ゴリラズ 和訳

November Has Come – Gorillaz / ゴリラズ の和訳。当時のヒップホップ界へのディストラックであり、ドラッグや銃暴力にも警鐘を鳴らす。MF DOOMが2020年10月31日に亡くなったことで、またこの曲に別の意味が生まれている。

MV

November Has Come – Gorillaz 和訳

オリジナル🔗Genius

[Verse 1: MF DOOM]

少しスピードを落とせ キレがないだろ アホ面のピエロよ
お前のゴールデンヒットはバカみたいに聞こえる いや待て 表彰してやれ
奴らをどこで見つけたって?
街のそこら辺だってさ それに溺れるかもしれないぜ
浮いて 膨張して 投票して
砂糖でコーティングされるかもな 弾丸を充填した銃撃者は
貧民のために引き金を引く 銀行で出される無料のコーヒー
ストローで飲んだら 「もう結構です」
そのせいで穢れたよな あのマリファナは最高に臭い
穴を広げろ ハードコアなゴミラップが湧き出るぞ
フロント・ストリートを通りながら 大音量で鳴らせ
スカンクの肉みたいに その場にいる全員をぶっ飛ばせ
このガキどもは早すぎる ジャンクなジュースを飲みやがって
クランクビートかファンクビート どっちのノリがいいだろうな?

[Chorus: 2-D]

何かが今日始まった
どこに行った? それにどうなってほしい?
まあ 11月が来たことは知ってるだろ
それが消えたときに
(ああ そう言うよね)
何かが今日始まった
どこに行った? それにどうなってほしい?
まあ 11月が来たことは知ってるだろ
それが消えたときに

[Verse 2: MF DOOM]

ブワーッ 偽の蛇口みたいに それを好きになってもいいのか?
おそらく答えは「はい」だろ 「蹴ってもいい?」と一緒でな
幸せなら ショットを飲め
手を叩け 詩人の濃い鼻水フローに合わせて
ペンを掴めば 俺は処女膜に立つ
ヤク中が踏む韻は ホープダイヤモンドよりも価値があるんだ
闇市で手に入れたんだぜ
そのスピットを吐き出す壺は 盗聴器のターゲットにすることはできない
速射砲を発射
(ジジジ!)捕虫器ラッパー
見た目がイカつくても小綺麗でも関係ない
お前の口を塞ぐか その最大露出を抑えろ
このビートのせいで 家族は心の整理をすることになる
奴らに銃を送ってこう伝えてくれ「一掃しろ」
尼さんを呼んでくれ 「息子はそんなつもりなかった」と彼女は言ったが
彼女はビラボンのTバックを履いてた
そして言った「ウソでしょ、ゴリラの曲に悪党がいるなんて?」

[Chorus: 2-D]

何かが今日始まった
どこに行った? それにどうなってほしい?
まあ 11月が来たことは知ってるだろ
それが消えたときに
何かが今日始まった
どこに行った? それにどうなってほしい?
まあ 11月が来たことは知ってるだろ
それが消えたときに

[Outro: 2-D]

それが
それが消えたときに

注釈 / 解説

①「無料のコーヒー」レベルのラッパー

「クランク」か「ファンク」かという問いが出て来るように、クランクビートを使う若い世代のラッパーを自分の世代と切り離し、曲全体を通して扱き下ろしている。彼らを「無料のコーヒー」と喩えて、「一度飲んだらもういらない」とディスる。

一方で自身のラップは「ホープダイヤモンド」以上に価値があり、虫けらのようなラッパーを捕獲する捕虫器であると言って攻撃を続ける。自身の流れるようなフローを鼻水と掛けるのもなかなか斬新だが、「このビートのせいで家族が心の整理をする」という表現もなかなかに回りくどい。「最高のビート」を意味する「kill the beat」を直訳すると「ビートを殺す」ことになるので、お亡くなりになったビートの家族が心の整理をつけている、という意味。

ちなみに「Can I Kick It? (蹴ってもいい?)」は、ア・トライブ・コールド・クエストのレファレンスである。

②ドラッグに手を出すキッズたち

歌詞には複数の意味に取れる表現が多く、特に婉曲的なドラッグ表現が紛れ込んでいる。

  • loaded hip shooter…ドラッグでキマった銃撃者 / 弾丸を充填した銃撃者
  • draw for the poor…貧民のためのハッパ / 貧民のために引き金を引く
  • hit through the straw…ストローで(コカインを)吸う / ストローで(コーヒーを)飲む

そのほか「juiced off a junk treat」はコデインとスプライトを混ぜた「リーン」のことである。ラッパーに人気のドラッグで、歌詞にある通り、そのマネをして飲む子どもたちも多い。

③我が子が犯した罪を信じない親

アメリカでは、子どもによる銃撃事件の発生が珍しくない。殺人者となった子どもについて、その親のインタビューが見出しを飾ることもある:「あの子は良い子。…そんなことするわけがない」。

曲中に登場する尼僧も、息子が「奴らを銃で一掃」したあとに、「息子はそんなつもりじゃなかった」と息子を庇っている。しかもこの母親は尼僧という神聖な職業に就いていることがポイントである。それでもって彼女はTバックを履いているという尼僧らしからぬ情報が追加されるため、彼女は裏の顔を持っていることがわかる。