Судно – Молчат Дома (Molchat Doma) / モルチャット・ドーマ 和訳

Судно – Молчат Дома の和訳。歌詞はボリス・ルィジイの詩「Эмалированное судно」で、彼の命を奪ったアルコール依存症と双極性障害の闘いがテーマである。

シングル・アルバム情報

ボリス・ルィジイ (Борис Рыжий) について

ボリス・ルィジイは1974年チェリャビンスク生まれ。父親は鉱物学者、母親は疫学者で、二人の姉がいた。1980年に家族はエカテリンブルク (旧名 : スヴェルドロフスク) に移り住む。不安定な情勢下で犯罪率の高くなったこの町が、彼の人格形成に大きな影響を及ぼしたようだ。

1991年にエカテリンブルクの大学に入学し、同年に結婚、一人息子を授かる。卒業後に鉱物学者となるが、その傍らで詩集を出版していた。14歳から詩を書き始め、その数は生涯で1300篇にも及ぶ。

1999年に「Незнакомка」で反ブッカー賞にノミネートされ、国内で彼の知名度が一気に高まる。一方で彼のアルコール依存は酷くなり、自殺未遂を繰り返した。エカテリンブルクの専門家に勧められたアルコール依存症の治療を受け、「クリーン」になってから間もない2001年5月7日、首を吊って亡くなった。26歳没。

エフゲニー・レインが「その世代で最も才能のある詩人」と呼んだように、その作品群は高い評価を受けた。「Северная Пальмира」は反ブッカー賞を受賞し、彼の詩を基にしたミュージカルや曲が数多く作られている。また、アリョーナ・バン・デル・ホースト (Aliona van der Horst) によるドキュメンタリー映画『Boris Ryzhy / Борис Рыжий』も制作された。

ミュージックビデオ・オーディオ

和訳

エナメルのベッドパン*1
窓 キャビネット ベッド
生きることは辛い ここは居心地が悪いが
死ぬには快適だ
エナメルのベッドパン
窓 キャビネット ベッド
生きることは辛い ここは居心地が悪いが
死ぬには快適だ

蛇口から 静かに水が滴る
人生は滅茶苦茶だ クソみてえだ
霧から出て行くと
見えるものは キャビネット ベッド
体を起こして
その瞳を見つめたい
それが目に入ると 涙が溢れた
絶対に死ぬな 絶対に死ぬな
絶対に死ぬな 絶対に死ぬな
絶対に死ぬな 絶対に死ぬな 絶対に死ぬな

エナメルのベッドパン
窓 キャビネット ベッド
生きることは辛い ここは居心地が悪いが
死ぬには快適だ
エナメルのベッドパン
窓 キャビネット ベッド
生きることは辛い ここは居心地が悪いが
死ぬには快適だ

脚注

*1 「судно」は大型船舶を表す言葉だが、「эмалированное судно」はいわゆる「ベッドパン」と呼ばれるエナメル製のポータブルトイレのことである。ベッドから起きることのできない患者に支給されるものであり、病院にいることを表している。

歌詞