Schizophrenia – Sonic Youth の和訳。アルバム「シスター」はSF作家のフィリップ・K・ディックの妹という存在をテーマにしたコンセプトアルバムである。そしてこの曲に関しては、統合失調症であるキム・ゴードンの兄からも着想を得ているようだ。
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和訳
俺は出かけて 昔からの友達に会いに行った
そこにそいつの妹が来たんだけど なんだか乱心してた
キリストには双子の兄弟がいて 罪が何であるかを知らなかったとか言って
俺がトラブルに巻き込まれると こいつは馬鹿みたいに笑い出す
明るい色の瞳が踊ってる 気が狂ってんだろう
そいつの兄は言ってた 妹はゴールドチェーンをつけたビッチだってな
その妹は近づいてきて こんなことを言い続ける 「この骨に感じる
統合失調症が私を家に連れて帰るんだよ」
私の未来は静的
もうすでに手に入れたから
あなたを一緒に入れてあげてもいい
それについて話したっていい
私は夢を見た
そしてそれはどこかへ去って行った
でも私にはあの感覚がある
それはまた私のもとに戻ってくる
解説
フィリップ・K・ディック (Philip K Dick) は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (Do Androids Dream of Electric Sheep?)』、『高い城の男 (The Man in the High Castle)』などで有名なSF作家。彼には双子の妹のジェーンがいたが、母乳アレルギーが原因で誕生から数週間後に亡くなった。彼の作品に「片方だけ生き残った双子」がよく登場するのはこのためである。この曲の歌詞にも「妹 (sister)」と「双子 (twin)」というキーワードが出てくる。これは「ジェーン」というフィリップの「妄執」を指している部分が大きい。
歌詞中に「キリストには双子の兄弟がいた」と言っている部分があるが、これに関しては完全な妄想ではない。実際にキリスト教のグノーシス派が「キリストにはトマス (Thomas) という双子の兄弟がいた」という説を提唱しているのである。
フィリップもグノーシス派であった。1970年代に入ると「フィリップ・K・ディック」という生活以外に、1世紀頃にローマ人によって処刑されたキリスト教徒の「トマス」として二重生活を送っているのだと本人は主張し始めた。このような妄言こそが彼の創作の原点であり、「妄想型統合失調症」の典型的な症状でもある。
キム・ゴードンの兄のケラーも同じ妄想型統合失調症を患っており、その関わりにおいてキム自身苦労したようである。彼女曰く「ずっと一緒にいた人が、突然知らない人になった」そうだ。そしてこれは、元夫のサーストン・ムーアに向けられた言葉でもある。
歌詞