216 – OG Keemo / OGキーモ 和訳

216 – OG Keemo / OGキーモ の和訳。黒人人種差別の歴史、そしてドイツにも存在する (特に警官による) 差別を訴えた曲である。また、争いを避けるために従順に振る舞う「ハウス・ニグロ」へも批判の矛先を向けている。

シングル・アルバム情報

Geist (2019) 収録曲

ミュージックビデオ・オーディオ

和訳

親父は言った「もう片方の頬は絶対に差し出すな!
向こうから愛されることはない、こちらとは違う人間だから」*1
この船が沈むことを、お前らは理解してないだろ*2
俺に部族の聖歌を歌わせないでくれ
また兄弟が血を流すからって、お前らはこのマスタープランにケチをつける
俺はこの種における、最後の真のリーダー
ズールー戦士の気分で、本物の銃を腕に隠す
ヴードゥー司祭のような血の絵画
黒い肌に当てられた青い光を思う
俺は親父の息子だ
この大きい鼻と縮れた髪が好きだ
シャープな砲身の、この38口径銃が好きだ
言ってやるよ、俺は奴隷収容所から遠く離れてるんだと
俺は眠らない、夢に苦しめられるから
楓の木には黒い果実がぶら下がる*3
目覚めると、そこに神はいなかった
そこあったのは、棺の中の黒人と白人警官からの十字線
13歳の時から、頭には同じイメージがある
親父は言った「もう片方の頬は絶対に差し出すな!
マーチン・ルーサーはそうして、あんなことになったんだろ」*4
でも俺らの種族には、戦いが無意味だと思う奴らがいる
思い出せよ、大半の人間がずっと盲目だった
お前ら、この鎖は早世を意味するんだ
俺たちはともに色を着るが、違う遺伝子を持つ
教えてくれ、お前らハウス・ニグロが着飾る理由を
ゴールドチェーンなんかして、まるで一日でもフィールドにいたかのように*5
俺みたいな黒人は、毎日何かを企てる
お前みたいな黒人は、計画が立てられることを祈るだけ
お前らのせいで、俺らは二倍戦うことになる
お前らダニエル・アミナーティはくせ毛をストレートにして、何も理解しない*6
どれだけ稼ぐかだの、奴らにとってはどうでもいい
お前らが駆け回ってようが、大学に行ってようが
その色で、お前は自動的に容疑者だ
これが分からないなら、お前はスペースの無駄遣いだ
親父は言った「その殴打がどれだけ弱かろうと、もう片方の頬は絶対に差し出すな!
マンデラはそうして、30年近く投獄されたんだぞ」*7
警光灯の恐怖から、俺は凍りついた
この意味が理解できないなら、お前は口を出すな
だから俺は叫ぶ「110番は糞喰らえ!」俺は若い王なんだ
お前は職質の何を知ってる? 若い黒人が深夜に出歩けば
疑われる理由は、その肌の色で十分だ
警察は振る舞う、個人感情じゃないかのように
もしそいつが、ブラウンの肌を持つ、二人の健康な赤ちゃんの祖父だとしても
娘がジャングルペニス好きだからって
その代償がこれなんだ
そしてお前は自問する、お前はこれを本当に拒絶しているのかと
ポケットにドラッグが入ってるなら、お前の選択肢は2つだ
パトカーのボンネットにキスするか
その足でどこまで行けるか
走れ!

首に鎖のない黒人は、誰だ?
首に鎖のない黒人は、誰だ?
首に鎖のない黒人は、誰だ?
首に鎖のない黒人は、誰だ?

脚注

*1 「目には目を、歯には歯を」というフレーズで有名なマタイの福音書からの引用。キリストは「右の頬を打たれたら、左の頬を差し出しなさい」と言ったが、現実にはそれが無意味であることを言っている。

*2 奴隷船のこと。病気が蔓延し、十分な食料も与えられない劣悪な状況の奴隷船で、度々奴隷が反乱を起こすことがあった。

*3 ビリー・ホリデイの曲「奇妙な果実」より。リンチに遭い、虐殺され、木に吊るされた黒人の死体のことを歌っている。

*4 マーチン・ルーサー・キング・ジュニアは公民権運動の指導者だったが、白人の男により暗殺された。

*5 マルコムXの演説で使われた言葉。「ハウス・ニグロ」は家事労働に従事する黒人奴隷、「フィールド・ニグロ」は野良作業に徹する黒人奴隷のこと。まるで主人と一心同体かのように動くハウス・ニグロは、フィールド・ニグロよりも良い生活を送る。主人が病気になれば、ハウス・ニグロは主人を労わったが、フィールド・ニグロは主人の死を祈った。マルコムXは、自分はフィールド・ニグロだと言った。

*6 ダニエル・アミナーティはドイツのテレビタレント。アフリカ系の彼が髪をストレートにしたことを引き合いに、自らのルーツを否定する人々を批判している。

*7 第8代南アフリカ共和国大統領であったネルソン・マンデラは、反アパルトヘイト運動による国家反逆罪で、27年間投獄された。

歌詞